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パリの空の下 20120510掲載

 2012年5月6日、La France Forte(強いフランス)を訴えた現職の大統領、サルコジ氏に Le changement, c'est maintenant(変革の時は今)を訴えたオランド氏が勝利して、フランス共和国大統領選挙は終わった。
フランス大統領選挙の結果発表のニュースを、f2 と TF1 のインターネットビデオで見た。17年ぶりの社会党大統領誕生で、バスティーユ広場でも勝利集会が開かれた。アコルデオン(アコーディオン)の、えっ、懐かしい「パリの空の下」の旋律が流れた。パリは、保守派の方が強いと言われてきたが、それでも、フランスの首都らしい騒ぎぶりだと思った。
それで・・・ 政治的・経済的状況は脇に置いといて(笑)、突然「パリの空の下」を翻訳してみた。歌詞だから、当然、そのまま日本語に置き換わらないし、日本語で歌えるようにするのは、もっと難しいのだけれど、まずは、ともかく、大至急で意味が取れるように翻訳してみた。「翻訳の時は今」あはは・・・
このシャンソンは映画『パリの空の下(邦題は、・・・にセーヌは流れる)』(1951)の挿入歌です。作曲:ユベール・ジロー (Hubert Giraud) 、作詞:ジャン・アンドレ・ドレジャック (Jean André Dre'jac)。多くの歌手に歌われていますが、エディット・ピアフの歌が有名です。以下は懐かしのジュリットグレコ1962年(YouTube)です。

      パリの空の下

パリの空の下
歌は飛んでゆく
ふうん、それで(注1)
少年の心に
今日生まれた歌
パリの空の下
恋人たちが歩いていく
ふうん、それで
愛のメロディーに乗せて
幸福が生まれる

ベルシー橋の下
哲学者が一人佇み
音楽家が二人、散歩する人たち
そして、たくさんの人々
パリの空の下
夕暮れまで歌い続ける
ふうん、何を
古い町(シテ)への
恋の讃歌を

ノートルダム大聖堂のあたりでは、
時々事件もあるけれど
それがパリ(注2)
すべてうまく行くだろう
夏の空から
光が注ぎ
水夫の奏でる
アコルデオンの音が流れ(注3)
パリの空には
希望が花開く

パリの空の下
楽しげに河は流れ
ふうん、それで
ホームレスもゴロツキも
夜は眠る
パリの空の下
幸運を求める鳥たちが
ふうん、それで
世界中から集まり
お喋りをする(注4)

パリの空も
心ひそかに
サンルイ島に
二千年も、恋をしてきた
サンルイ島が微笑めば
空は青い服を着る
ふうん、それから
パリに雨が降るとき
それは空が不幸せ
何百万人もの恋人たちに
空が焼餅を焼くとき
ふうん、それで
ぼくらの上に轟く雷を落とす
でも、パリの空は
長いこと厳しくはしない
ふうん、それから
ごめんなさいねと
ぼくらの上に
虹を掛けてくれる

翻訳:門司 邦雄(Parolemerde 2001)
掲載:2012年5月10日

(注1)
原歌詞の Hum hum は、ロワイヤルでは、ふうむ、ううん(hem)で、「疑惑・いらだち。ためらい・隠しだて、あるいは自分の存在をしめすせき払いなど」とあります。ここでは、歌詞としてもっと軽く使われています。まあ、「ふうん、ふうん」とでも訳すれば良いのかも知れませんが、その場その場で訳を入れてみました。

(注2)
ここのパリは Paname、俗語でパリのこと、音韻の都合で Paris に替わって使われました。

(注3)
L'accordéon d'un marinier はアコルデオンの種類かなとも思い調べましたが、判りませんでした。そのままの訳を入れました。

(注4)
Les oiseaux du Bon Dieu、oiseaux は鳥、Bon Dieu は、直訳すれば「良き神」となりますが、慣用俗語で「畜生!」という意味で使われます。シャンソンですから俗語の意味を採用し、パリで一旗あげようと、いろんな奴らが集まって、カフェなどでお喋りをするという意味に訳しました。なお、YouTube で聴いたモンタンの歌では、この節はハミングになっていました。

      Sous le ciel de Paris

Sous le ciel de Paris
S'envole une chanson
Hum hum
Elle est née d'aujourd'hui
Dans le cœur d'un garcon
Sous le ciel de Paris
Marchent des amoureux
Hum hum
Leur bonheur se construit
Sur un air fait pour eux

Sous le pont de Bercy
Un philosophe assis
Deux musiciens quelques badauds
Puis les gens par milliers
Sous le ciel de Paris
Jusqu'au soir vont chanter
Hum hum
L'hymne d'un peuple épris
De sa vieille cité

Près de Notre Dame
Parfois couve un drame
Oui mais à Paname
Tout peut s'arranger
Quelques rayons
Du ciel d'été
L'accordéon
D'un marinier
L'éspoir fleurit
Au ciel de Paris

Sous le ciel de Paris
Coule un fleuve joyeux
Hum hum
Il endort dans la nuit
Les clochards et les gueux
Sous le ciel de Paris
Les oiseaux du Bon Dieu
Hum hum
Viennent du monde entier
Pour bavarder entre eux

Et le ciel de Paris
A son secret pour lui
Depuis vingt siècles il est épris
De notre Ile Saint Louis
Quand elle lui sourit
Il met son habit bleu
Hum hum
Quand il pleut sur Paris
C'est qu'il est malheureux
Quand il est trop jaloux
De ses millions d'amants
Hum hum
Il fait gronder sur nous
Son tonnerr' éclatant
Mais le ciel de Paris
N'est pas longtemps cruel
Hum hum
Pour se fair' pardonner
Il offre un arc en ciel

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