Blog - 政治的

ホコ天パンクロック - その2 20050906掲載

 今宵は、魚のように脂ぎり、赤い夜の十か月のように顔を赤らめた、氷の頂の海のキルケに、――(あいつの心臓は龍涎香とスパンク(火種))、――極地のカオスよりも荒々しい武勲に先立つ、この夜の領域よりも沈黙した、おれのただ一度の祈りのために。

ランボー「イリュミナスィオン」の「祈り」より

翻訳:Parolemerde2001

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 「スパンク 」はランボーの詩に出てくる謎の言葉です。ラコストの説では、英語で火口(ほくち、火打石で火を付けるときに、まず火を移しとるもの)とのことです。また、アンダーウッドの説がポショテク版のブリュネルの注に紹介されていますが、spunk には英語の隠語で精液という意味があるそうです。 

戦争や政争が起こると思い出されたり聴きなおされたりする歌手や歌のある人も多いでしょう。私もそういう時を重ねてしまいました。反戦ママ、シンディ・シーハンさんのキャンプでは、もはやロングヘアーではないバエズが歌いました。少し前のほぼ日刊イトイ新聞(www.1101.com)には、イギリスのパンクロックバンド、セックスピストルズが紹介されていました。ヤフーのイラク戦争関連トピには加川良の歌詞が紹介されていました。

 でも、私がよく思い出すのは、1993年から1994年に原宿ホコ天で、おそらくあの頃ホコ天で唯一、政治的テーマの曲を歌っていたSPUNKというパンクロックバンドです。ユニオンジャックの真中に大きくSPUNKと書かれたバナーを掲げていました。自衛隊がサマワに進駐し「兵隊さんのレンタルショップ」を開いた時にも、郵政民営化法案の否決で衆議院が解散されても、私には「ほんとのことなんて何一つ(解から)無い」まま突入した今回の911選挙でも、彼の歌詞を思い出しました。すでに「社会」は無く、「革命」の左翼にも「皇国」の右翼にも、インターネットのBBS等ではバカという枕言葉が付くようになりました。でも、この歌詞はプロパガンダやマニフェストを歌っているだけではないと思い、あえてここで紹介することにしました。「世界の片隅」には、この歌もありました。(写真は1994年2月、撮影:Kunio)

国境を越えて


みんなの歌う声をからだ全部で受け止めて 

きっと届くはずさ、あの国境を越えて

ほんとのことなんて何一つ無いと知った今

ここに立っているいつか思い出せ

上から見下ろしてぼくを笑っているのかい

そんなに怒鳴るなよ、そんなに責めるなよ

町の灯りゆがんで見える、枯れはてた涙の後に

町の隅で聞こえてくるのは、聞きなれたあの声

みんなの歌う声をからだ全部で受け止めて

きっと届くはずさ、あの国境を越えて

無理やり押し付けられた戦いの火ぶたが落とされる

同じ空の下で、幸せと不幸せ

だれもが信じていた何も悪いとは思わずに

たくさんの兵隊がぼくを迎えに来る

ひとのことばかり気になってしまう、いつからか視線におびえて

このままじゃきっと駄目になってしまう、世界の片隅で

みんなの歌う声をからだ全部で受け止めて

きっと届くはずさ、あの国境を越えて

みんなの歌う声をからだ全部で受け止めて

きっと届くはずさ、あの国境を越えて

あの国境を越えて

あの国境を越えて

革命


都合のいいことばかりがうごめくこの世の中で 

信じるものなんて何ひとつありゃしなかった

戦争、反核、自民に、社会に、自由と平和

ほんとの答をだれか教えてよ

納得いかねえ歴史を何度も繰り返してる

人が人を殺して、また殺されてゆく

臆病風に吹かれてまたひとつ夢を無くした

こんなおれをあんたは笑えるか

そして裏切られ、うらんで憎まれる

うまくやれよなんて、きれい事にだまされ

愛されることも知らずに育ったおれたちの世代

だれのせいにもできない

明日(あした)もいいこときっと無いだろ

革命起こせ、おれとおまえのその手で

移り行く時代の中で自分も変わっていくから

大人になる前に自分を消してしまいたい

何も始めから全てを諦めているわけじゃないさ

ひとりの弱さを感じているだけ

権力主義者よ、偉い人たちよ

まだまだ続くのか、建前と偽りを

愛されることさえ知らずに生まれたおれとおまえも

もう逃げることはできない

明日もいいこときっと無いだろ

革命起こせ、おれとおまえのその手で

そして裏切られ、うらんで憎まれる

うまくやれよなんて、きれい事にだまされ

愛されることも知らずに育ったおれたちの世代

だれのせいにもできない

明日もいいこときっと無いだろ

革命起こせ、おれとおまえのその手で

明日もいいこときっとねえのか

革命起こせ、おれとおまえのその手で

I LOVE MONEY GIVE ME MONEY


ちょっとおいらの話しを聞いてよ

こんな生活にうんざりしているのさ

毎日毎日汗水たらして働いてさ

朝から晩までこき使われてよ

おいらの生まれ育ったこの国も

兵隊さんのレンタルショップさ

そうさ、逃げだそうぜ

今しか無いだろう

糞ったれどもの目が覚める前に

はげ親父どもの居眠り会議で

ぼくらの国は動かされているのかい

そんなあんたが決まって吐き出す台詞は

I love money. Give me money.

おいらの生まれ育ったこの国も

兵隊さんのレンタルショップさ

そうさ、逃げだそうぜ

今しかねえよな

糞ったれどもの目が覚める前に

昨日生まれた子供のように

何も知らない心のままでいい

素直に笑って涙を流して

歌を歌えればいい

ニュースキャスターの声よりも

昔のロックンロールスターよりも

ぼくの破れたペタ靴よりも

吹き抜ける風と太陽の下で

そうさ、昨日生まれた子供のように

何も知らない心のままでいい

素直に笑って涙を流して

歌を歌えればいい

昨日生まれた子供のように

何も知らねえ心のままでいい

素直に笑って涙を流して

歌を歌えればいい

ラララ ラララ

ラララ ラララ

ラララララララ ラララ

ラララ ラララ

ラララ ラララ

ラララ ララララ

・・・・・・


Words & Music by SPUNK, 1993

注)聴き起こしのため、漢字等が原歌詞と異なる場合もあると思います。
著作権者にとり掲載等に問題がある場合は、コンタクトからご連絡ください。
早急に対処いたします。

Parolemerde2001
2005年9月6日

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